最近ではビジネスのグローバル化が進み、日本企業を取り巻く環境の変化などの影響で、国内企業でも世界で普遍的に通用する経営管理の知識やスキルが求められるようになってきました。また、少子高齢化による労働力不足が深刻化しており、企業間で優秀な人材の奪い合いが顕著になってきています。従来のような同じ会社で企業独自のルールに従うだけの働き方に代わり、社員一人一人が国内外のどの会社にいても通用するスキルを会得しようという風潮が高まってきているのです。
そこで本文では、世界的な評価基準となるMBA学位や日本であまり馴染みのないDBA学位について解説し、両者の相違点やそれぞれの学位がどんな人々におすすめできるのかという点をまとめていきます。
MBA学位とは何か?
MBAとはMaster of Business Administrationの略で、経営管理修士を意味する学位です。日本ではMBAに大きく2種類の授与方法があります。一つは大学院修士課程を修了した場合に授与される「修士(経営学)」、もう一つは、専門職大学院にて専門職学位課程を修了した場合に授与される「経営管理修士(専門職)」で、それぞれの修了者がMBAホルダーと位置付けられています。
MBAは、元々19世紀末に誕生した企業経営を科学的アプローチで捉える高等教育コースで、1916年には世界各国のMBA機関を政府から独立して評価する第三者機関(AACSB International)がアメリカで創立されました。他の世界的MBA認証機関として、ベルギーを本拠とするEFMD(European Foundation for Management Development)や、イギリスを本拠とするAMBA(Association of MBAs)などがあります。世界中のビジネススクールは、こうした第三者認証機関に加盟し、グローバルな教育水準の品質維持に努めるのが一般的です。MBAは約2年での修了が目安ですが、夜間や週末に集中した開講や、約1年の短期コースなど、社会人が仕事しながら学べるよう様々な形態のプログラムが提供されてきました。
DBA学位とは何か?
DBAとはDoctor of Business Administrationの略で、経営管理博士を意味する学位です。経営学の最高学位として定められ、アメリカやイギリスの大学院を中心に発行されています。現状日本ではあまり馴染みがない学位ですが、日本にいながら所定のカリキュラムを修了してDBAの学位を取得できるスクールもあります。取得までの期間は、学士号取得の後、3~5年を要するのが通例です。学術的に高度な知識を身に付けるのはもちろん、現場でのマネジメントやリーダーシップに直結する実践的・応用的なスキルを習得する職業学位と捉えることができます。従って、企業組織のリーダーや起業家を目指す方々が多く見られます。
同じ「Doctor」という表記が含まれることから、DBAとPh.D(Doctor of Philosophy)との関わりが気になるかもしれません。Ph.Dは、特定の研究分野の高度な研究能力を証明するもので、研究や学界でのキャリアを積みたい人が主に取得する最高学位です。実際、取得後はそのまま研究者などの学術的職務に就くケースが多く見られます。
MBA・DBAの共通点と相違点
次に、MBAとDBAの共通点や相違点を整理し、両者の特色を理解していきましょう。
MBAとDBAの共通点
・経営学を知識面と実践面から学ぶカリキュラム
・実務家、ビジネスパーソンとしての成長・成功を志向
・国内外のビジネススクール(経営大学院)で取得可能
・仕事と並行して取得可能(夜間や週末限定の受講)
・課題及び論文で評価
MBAもDBAも共に経営管理を専門に学ぶコースであり、現場の企業組織で活躍する実務家養成を目指す点でゴールが共通しています。いずれも経営に関わる広範な専門知識を学習しますが、研究者を目指すといった学術的なモチベーションに根差すのではなく、ビジネスパーソンとしてのキャリアアップや成功を想い描く人々が集うカリキュラムです。評価方法は、ビジネススクールによって異なるので、あくまで一例として捉えるようにしてください。
MBAとDBAの違い
・人材育成の目的
MBAは、プロジェクトリーダーやマネージャーに相当するポジションに就き、高いビジネススキルやリーダーシップを発揮できる人材育成を目指します。一方、DBAは、企業トップや経営陣など経営管理者としてマネジメント能力・実践力を発揮できる人材、または起業家として創造性や実行力、リーダーシップを発揮できる人材の育成が目的です。
・入学資格
MBAコースの入学には、学士号を持っている、あるいはそれに相当する学歴を有していること。さらに、2年間もしくは5年間のマネジメント経験を有すること(実務内容などにより個別評価)といった要件があります。英語能力も求められます。
DBAコースの入学には、修士号学位を保有していること。そして、業務経験や英語能力が、大学院博士課程で学ぶのに相応しい水準であることが条件です。英語能力に関しては、有効な証明書の提出を求められることもあります。
・修業年限
MBAは2年程度が目安、DBAは3~5年程度が目安です。
・学習内容
MBAでは、経営・会計・マーケティング及びファイナンスに関する幅広い学習と共に、検証・分析力を磨きビジネススキルを向上させます。そして、DBAはMBAのちょうど1段階上に位置する学位です。その学習内容は、管理職やビジネスリーダーあるいはその地位を目指す人々が、マネジメント能力や経営スキルをさらに向上させることに主眼を置いています。
MBAがおすすめできる人物像
それでは、MBAコースがどのような人におすすめか考えていきましょう。まず、MBAに入学する人は、学士号は有しているが、大学時代に経営学の知識や理論をしっかり学んできたわけではない、という人も多いでしょう。MBAコースなら、経営・会計・ファイナンスといった経営学もしくはそれに関連する学問を幅広く学習する機会に恵まれます。将来どのような実務分野へ進むにせよ、この段階では基本的な知識や理論を固めて、実践や応用へ取り組む上での土台を充実させなければなりません。
MBAは基本から応用まで幅広く学べることから、実務キャリアがそこまで豊富にあるわけではないビジネスパーソンでも有意義な学習機会が得られます。もちろん、容易に取得できる学位ではないので、目的を達成する強い意志モチベーションは不可欠です。キャリア志向が高い人や、マネジメント職やプロジェクトリーダーとして、中心的な役割を担って活躍したい人には最適なコースと言えるでしょう。
さらに、普段の仕事のスケジュールが多忙なため、短期間で高度なビジネススキルを身に付けたいという人にもMBA学位はおすすめです。MBA学位は約2年、スクールによっては1年程度で取得することも可能です。オンライン受講のコースを選ぶなど、自身の工夫次第で学習時間を確保する方法はあります。
DBAがおすすめできる人物像
次に、DBAコースがおすすめできる人について考察していきます。DBAは経営層で活躍できる学習カリキュラムが充実していますが、最近では世界的にMBA取得者が増えすぎて、転職市場でも従来のイメージほど差別化が図れないという声が聞かれるようになりました。そこで、転職や人事評価において、他にないインパクトをもたらしてくれるのがこのDBA学位です。特に外資系企業や国内外のコンサル系企業への転職を希望する場合は、際立った評価ポイントになるのではないでしょうか。
転職目的ではなく、現在の会社で経営陣へのキャリアアップを目指す上でもやはりDBAは取得しておきたい学位です。DBAコースはMBA以上に経営レベルでの実践的内容が詰まっており、学位取得を進めながら現職にもそのスキルを活かしていけるというメリットがあります。通常、経営スキルは一朝一夕に身に付けるのは難しい側面がありますが、DBAプログラムは効率的に企業経営の専門スキルを習得可能です。もちろん、既に経営職や管理職に就いている人にとっても、ビジネス業界で更なる高みを目指すなら、DBA学位が大きな助けとなってくれるでしょう。
最後に、将来起業を目指す人にとってもDBAはおすすめしたい選択肢です。実は、DBAは起業志向の強い人たちが多く受講しているコースです。ビジネススクールに在籍することで、有益な人脈形成につながる事例も少なくありません。DBAで学ぶ起業やビジネス関連の専門知識が役立つのはもちろんですが、ちょっとした人脈が会社経営を成長軌道に乗せるきっかけになることもあります。会社での仕事仲間との関わりでは得られないような、貴重な出会いに恵まれるチャンスがビジネススクールには転がっているのです。
MBAを超える経営管理学位まで日本国内で目指せるチャンス
MBAはキャリアアップに有効な学位として以前から認知されていますが、MBA保有者が増加し続けている今、最高学位であるDBA取得は多くのビジネスパーソンにお勧めする選択肢です。ダグラスビジネススクールのような、日本国内にいながら短期間で高位の経営管理学位を取得できる環境にはますます注目が集まっていくでしょう。キャリアアップ転職・経営管理層・起業家と、DBA取得が色濃く描いてくれる未来像は、どれも魅力に満ち溢れたものに他なりません。
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