MBA(経営管理修士)の取得を目指す上で高いハードルとして立ちはだかるのが、様々な費用です。ビジネススクールの学費や受験料に加えて、海外MBAの取得ともなると渡航費や現地での生活費なども必要となります。また、国内MBAも海外MBAも共通して、国公立と私立の学費の違いもあり、MBAスクール選びの際には各種費用も考慮に入れなければなりません。かつてMBAにまだそれほど価値が認められていなかった頃は「エリートの箔付け」というイメージを持たれがちでしたが、その一因には費用の高さがあったと言えるでしょう。しかし、実はMBAの費用は工夫次第で節約することが可能です。

今回は、国内と海外のMBAについて、学費や総費用の比較を行いつつ、費用節約の方法について説明します。節約の手段は豊富に存在するので、これまでMBAに対して高そうなイメージを持っていて、取得を半ば諦めていたという人も、今回説明する内容を参考にして、MBA取得をより前向きに検討してみましょう。

国内MBAの学費

 国内でMBA(経営管理修士)を取得する場合のビジネススクールの学費について、人気を集めている国公立大学と私立大学からそれぞれ3つ、ピックアップして比較してみましょう。

#国公立

大学修業年限学費
京都大学ビジネス・リーダーシッププログラム2年制・全日制1,353,600円
筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻2年制・平日夜間+土曜1,353,600円
東京都立大学経営学プログラム平日夜間+土曜1,323,600円(東京都民の場合は1,182,600円)

#私立

大学修業年限学費
早稲田大学(WBS)2年制・全日制3,726,000円
慶應大学(KBS)2年制・全日制4,333,600円
青山学院大学(ABS)国際マネジメント研究科2年制・全日制3,306,000円

 上記はあくまで学費の一例であり、プログラムや開講日・開講時間によって上下することもありますが、学費の相場としては国公立大学は100万円~150万円、私立大学は300万円~450万円となっています。私立大学の学費は、国公立に比べて2倍~3倍以上の金額がかかると考えて良いでしょう。

 私立大学が開講するビジネススクールの学費が高い理由は、ひとえに私立大学の財源が学生からの学費に依存しているためです。国公立の場合は、自治体が運営しているため、設備の維持費や教員の給料に自治体の住民から集めた税金を使うことができます。しかし、私立は民間の法人が運営しているため、どうしても財源を確保するためには学生からの授業料に頼らざるを得ません。一応、大学が存在する自治体からは補助金が出ますが、補助金だけで大学を運営することは極めて難しいのです。しかし、その分授業の質が良かったり、様々な設備が充実していたりするなどのメリットも存在します。実際、学費の高い私立大学のビジネススクールも、学費の高さが理由で人が集まらないということはありません。

 結論としては、学費を少しでも安く抑えたい場合は、国公立大学の開講するMBAスクールに通うのがおすすめです。しかし、質の良い授業を受けたい場合や、学習環境の良好なビジネススクールでMBA取得を目指したいという場合は、私立大学のビジネススクールを受けることもひとつの選択肢となるでしょう。

海外MBAの学費

 さて、海外MBAの学費はどのようになっているでしょうか。国内MBAと同様、国公立と私立それぞれから3つ例をピックアップして紹介し、国内MBAとの比較を行います。なお、為替相場は2022年1月24日時点のものを参照していますので、予めご了承ください。

#国公立

大学修業年限学費
シンガポール国立大学(シンガポール)フルタイム76,000シンガポールドル(約6,430,000日本円)
バージニア大学ダーデンスクールオブビジネス(アメリカ)フルタイム72,800アメリカドル(約8,280,000日本円)
チチェスター大学(イギリス)パートタイム14,400スターリング・ポンド(約2,220,000日本円)

#私立

大学修業年限学費
ハーバード大学経営大学院(アメリカ)フルタイム73,440アメリカドル(約8,350,000日本円、独身者の場合)
スタンフォード大学ビジネススクール(アメリカ)フルタイム68,868アメリカドル(約7,830,000日本円)
INSEAD(フランス・シンガポール・アラブ首長国連邦)フルタイム84,000ユーロ(約10,840,000日本円)

 全体的な傾向としては、国公立よりも私立が高いのは国内MBAと共通ですが、国公立でも人気のあるビジネススクールは私立と同等の学費がかかることがあります。また、国内MBAと比較すると学費が高くなっているのも特徴です。相場としては、日本円にしておよそ750万円から1,100万円程度となります。なお、フルタイムは日本での全日制に該当し、パートタイムは曜日や時間帯を限定して開講するタイプのスクールです。MBAコースをパートタイムとしているチチェスター大学は国公立のスクールの中でもかなり安い部類に入ります。

国内MBAと海外MBA、総費用を比較

 ここまで学費のみに着目して比較を行いましたが、MBAの取得には学費以外の費用もかかる点にも注意が必要です。以下では、MBAの取得に必要な全ての費用をまとめた上で、国内MBAと海外MBAの費用比較を行います。

場合MBA 日本で取得MBA 海外で取得
費用・学費100万円~450万円・受験対策費用(予備校など)4万円~40万円・受験費用1万円~3万円・学費750万円~1,100万円・受験対策費用(予備校など)50万円~100万円・資格試験受験費用5万円~40万円・スクール受験費用3万円~15万円・教材購入費5万円~20万円・現地への渡航費10万円~30万円・現地での生活費200万円~850万円
合計105万円~503万円1023万円~2155万円

国内MBA総費用

 MBAを日本で取得する場合は、学費に加えてスクールの受験料や、受験対策のための予備校の費用などがかかります。独学で勉強するにしても、参考書や過去問題集などを購入して受験することになるでしょう。全く勉強をせずにスクールを受験することはかなり無謀な行為ですので、多少は費用をかけてでもしっかり受験対策を行うことをおすすめします。

 国内MBA費用は、国公立のMBAスクールを独学で受験するという方法で最も安くなりますが、受験に失敗するリスクも勘案が必要です。不合格のリスクを避けるためには予備校に通う、第一志望以外のスクールにも出願するなどの対策が考えられます。ある程度は予算と相談しつつ、可能な範囲でお金をかけてMBA取得を目指すのがおすすめです。

海外MBA総費用

 海外MBA費用は、学費や受験対策費用に加えて、TOEICやGMATなどのスクール入学のために必要な資格試験や、教材の購入費、さらに現地への渡航費用や留学に伴う生活費などが必要となります。このため、国内MBAと比較して、単純計算で2倍以上の費用がかかります。資格試験は難しく、数回受験することも想定したほうが良いでしょう。教科書などは自分で買い揃える必要があるため、何が必要となるのかを予めスクールからの案内などで確認し、授業開始までに揃えておかなければなりません。

 海外に留学することになるため、渡航費や現地での生活費もしっかりと予算に含める必要があります。学生寮が用意されることもありますが、基本的には現地で賃貸住宅を契約するのが一般的です。ニューヨークなどの大都会では家賃も相応に高いため、大学の所在地周辺の家賃も事前に調べておくようにしましょう。学生寮を提供しているスクールもあり、家賃を抑えたい場合は学生寮の利用も考慮に値します。もちろん、家賃だけではなく、食費や光熱費、現地の学生との交際費や娯楽費なども発生することが考えられるため、自分の生活スタイルを考慮に入れた上で予算を確保することが必要です。

MBAの費用を節約する方法

 ここまでの説明で、MBA取得には実に多くの費用がかかることがわかりました。しかし、工夫次第でMBA費用は節約可能です。以下では、主に海外MBA費用を節約する方法について、いくつかピックアップして紹介します。ここで紹介する節約方法を参考にすれば、高嶺の花という印象の海外MBAの取得について、心理的・金銭的なハードルを大きく下げることも不可能ではありません。

#奨学金を利用する

 学費の節約として有効な手段の一つに、奨学金があります。国や自治体、民間の法人など、様々な団体が奨学金を運営しています。奨学金の利用によって、学費の補填が可能となり、在学中の出費を大きく抑えることが可能です。もちろん、奨学金には返済義務があり、MBAスクールを修了した後は月ごとに分割納入する形で奨学金を返さなければなりません。しかし、MBA取得は人事評価でプラスに働き、収入の大幅アップも期待できますから、上がった収入から月々の返済分を捻出すると良いでしょう。また、返済不要の奨学金を採用している団体もあるため、それを利用するのも一つの手です。奨学金の利用に際して定められている条件、支援してもらえる額、返済時の利息などは団体によって様々です。奨学金の利用を行う際には、候補として複数の団体をピックアップした上で比較検討し、自分に合った奨学金を提供する団体に応募すると良いでしょう。

#教育ローンを利用する

 奨学金以外にも、銀行などの金融機関が「教育ローン」という金融商品を提供している場合があります。銀行から融資を受ける形で、奨学金と同様に学費の補填を行うことが可能です。返済にあたっては奨学金よりも利息が高くなるのがネックですが、一般的なローンよりは低い金利で借り入れができるため、奨学金に次ぐ学費補填の手段としてよく利用されます。また、奨学金の場合は募集期間が決められていますが、教育ローンはいつでも好きなタイミングで申し込みが可能です。利用にあたっては他のローンやクレジットカード等と同様に審査が行われますが、十分な年収があり、なおかつ過去に金融事故を起こしていなければ審査に落ちることはまずありません。借入限度額や詳細な利用条件、金利などは金融機関によって異なりますので、申し込む前に情報をしっかりと確認することをおすすめします。

#専門実践教育訓練給付制度を利用する

 日本の厚生労働省は、働く人のキャリア形成や能力開発を支援する目的で、「教育訓練給付制度」という給付金制度を設けています。これは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し、修了した場合に、学費の一部が支給されるというものです。講義のレベル等に応じて専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類に細分化されており、それぞれ支給額が異なります。MBAの場合は専門実践教育訓練に該当し、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給される他、スクールの教育課程を修了しMBA取得を果たした場合は、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用を受けるという条件のもと、受講費用の20%(年間上限16万円)の追加支給を受けることが可能です。

 この制度の最大の利点は、「貸付」である奨学金や教育ローンと異なり「給付」であるため、返済の必要がないということにあります。また、MBA取得によって追加支給が行われるため、取得を目指すモチベーションの向上にも繋がるでしょう。ただし、この制度は講義開始時の費用を自己負担して、後から給付を受けるという仕組みである点には注意が必要です。各地のハローワークが申し込み窓口となっているため、この制度の利用を考えている場合は自分が住んでいる地域のハローワークで制度利用について相談を行うことをおすすめします。

#家賃や物価が安い地域に滞在する

 海外MBAの取得を目指す際にかかる生活費を抑えるならば、家賃や物価が安い地域に滞在するのが良いでしょう。例えば、アメリカやイギリスなどの物価の高い国と、中国やシンガポールなどの物価の安い国では、必要な生活費は大きく異なります。また、同じアメリカでも、ニューヨークなどの大都市の中にある住宅は家賃が高いですが、大都市からやや離れた郊外や、小~中規模の地方都市にある住宅は低い家賃で借りることが可能です。よって、大都市圏のMBAスクールに通う場合はスクールの近くで住宅を探すのではなく、交通の便も考えながら郊外の住宅を借りると家賃を抑えることができます。近所に食品や日用品を安く揃えることができるお店があるなど、家の周辺のリサーチもしっかりと行えばより生活費の節約効果も高くなるので、海外MBA取得の際には家探しも決して疎かにしないようにしましょう。

#オンライン留学を行う

 海外での生活費や渡航費を一切かけずに留学を行うという方法があります。それが、「オンライン留学」です。オンライン留学は、通常の海外留学で発生する渡航費や生活費などが不要であるだけでなく、教材や講義の録音データなどがインターネット経由で配信されるため、いつでも自分の好きな時に学習を行うことができるというメリットが存在します。即ち、海外留学を行う上で避けて通れない休職や退職を行う必要がなく、仕事を続けながら海外MBAスクールで学習を行うことが可能となるのです。もちろん、生活環境の激変に伴うストレスもないため、心理的なハードルも低くなります。イギリスのチチェスター大学をはじめとして、様々な海外MBAスクールがオンライン留学の受け入れを行っているため、海外MBAの取得を目指したいが日本を離れるのが不安だ、という人はオンライン留学が可能なMBAスクールを選ぶと良いでしょう。

海外MBAの費用節約にはダグラスビジネススクールがおすすめ

 ダグラスビジネススクールでは、海外MBAをオンラインで取得するコースを提供しています。8ヶ月の講義を受けて大学院科目課程修了証書を取得した後、イギリスのチチェスター大学院生として卒業論文の作成を4ヶ月で行うという内容で、1年間という学習期間でチチェスター大学が発行するMBA証書を受け取ることが可能です。イギリスの大学のMBAを、現地への渡航や滞在を行うこと無く、日本にいながらして取得することができるため、渡航費や生活費は一切かかりません。海外MBAを、費用をかけずに取得したいという人にとっては、ダグラスビジネススクールが提供するMBAコースはまさにうってつけと言えるでしょう。

お金がかかるMBA取得だからこそ、できる範囲で節約を

 MBAの取得には、多額の費用をかける必要があります。特に海外MBAの取得においては車や家が買えるほどの金額を用意しなければなりません。だからこそ、様々な工夫で費用を節約して、MBA取得の金銭的・心理的なハードルをできる限り下げることは大事です。ダグラスビジネススクールでは、費用節約効果の大きいオンライン留学を行うMBAコースを提供しています。コースの詳細は以下のURLで確認できますので、興味を持った人は是非ダグラスビジネススクールでのオンライン留学を考えてみてはいかがでしょうか。

 ダグラスビジネススクールMBA課程案内ページ: https://douglas.jp/contact-us-2/

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